2010-03-04

  • 晩鐘

夜がせまり一日が終わる時、その一瞬に立ち止まることがあります。

3月、長野は夕刻に近づくとまだ寒く、暖かいコートがまだ手放せない季節です。


東山魁夷画伯の絵でドイツ、高台からでしょうか、フライブルクの大聖堂を臨んだ「晩鐘」という美しい絵があります。

紫のもやがかかったような、夕暮れの匂いや静けさを感じられる絵。

長野では、少し山を登って街を夕暮れ時に見渡すと、灯りが付きはじめた光景から、昼間とは違う人の生活を感じる暖かさを感じることができます。


まだ高校生の頃、画集を見て惹かれたこの絵から聴こえる音をいつか聞きたいと願い、それから10年も とうに過ぎた頃、想像していた音の何十倍も美しい 歴史を感じさせる教会の鐘の音を聴いたときは、望んでいたものが体に染み込んでいくような感動がありました。

一日の終わりに鳴り響く鐘の美しかったこと。

「そのままの音を冷凍保存できたら 持って帰れるのに・・」と日本に帰る前、思ったものでした。

「晩鐘」は現在行われている東山魁夷館の{中国への旅}の中で展示されています。
(画伯の中国の画も、その自然の雄大さや歴史を一瞬にして捉えられるような、素晴らしいものでした)

私のとっては心落ち着く絵のひとつです。